ビジネスやスポーツなど様々な分野で注目を集めている、「睡眠」についての書籍を読みました。
今回注目したのは、トップアスリートは起きている間のトレーニングや食事だけでなく睡眠が試合のパフォーマンスに影響を及ぼすことを知っているのだ、ということです。
そして控え選手に比べると代表選手のほうが睡眠に対するこだわりが強いと言います。
競技ダンサーの方は良質な睡眠をとれているでしょうか。
本書では最高の睡眠をとる方法ももちろん教えてくれているのですが、今回、トップを目指す社交ダンサーのために注目したいのは睡眠の質でパフォーマンスが変わってしまうということです。
バスケットボール選手での研究が紹介されていました。
バスケットボール選手への研究
本書で取り上げられていたスタンフォードの男子バスケット選手を被験者とした研究を紹介します。
10人の選手に40日間、毎日10時間ベットに入ってもらい、それが日中のパフォーマンスとどう関係するかを調査したものだ。
具体的には、コート内で何度も折り返しのある80メートル走のタイムとフリースローの成功率を毎日記録した。
最初の数日、パフォーマンスはそれほど劇的には変わらなかった。
学生とはいえ、スタンフォードのバスケットボール選手といえばセミプロレベル。
(中略)ずば抜けて高い能力の持ち主ばかりだから、大きな変化は難しいと思われた。
ところが、2週間、3週間、4週間と経過するうちに、80メートルのタイムは0・7秒縮まり、フリースローは0・9本、3店スローは1・4本も多く入るようになった。選手自身、「すごい調子がいい」「ゲーム運びが良くなった」という実感も得ていた。いったい、何が起きていたのだろう。
『スタンフォード式 最高の睡眠』P45・p46
この実験中のトレーニングによって選手の技術が向上したのではないかと思うかもしれませんが、もともと一流である選手が4週間でこれほど上達することは考えられません。
そしてこの実験が終わった後、普通の睡眠に戻したら実験開始前の記録に戻ってしまったといいます。
このことから睡眠が選手たちのパーフォーマンスに影響したこと、睡眠時間を増やしてもすぐに結果が出ないということがわかります。
例えば休日だけたくさん寝ても普段の寝不足は解消されないということです。
競技ダンスで成績を向上させたいと思っている読者の方なら、この時点で睡眠の重要性を認識したのではないでしょうか。
しかし残念ながら、プロフェッショナル、アマチュア、学生いずれの競技ダンサーにも毎日10時間ベッドに入っている時間なんてないですよね。
睡眠の質は最初の90分が鍵を握る
安心してください。本書は「だからたくさん寝ましょうね」と長時間睡眠を推奨する、とは言っていません。
むしろ短い睡眠(最低でも6時間の睡眠)でも最高のパフォーマンスを発揮する方法を教えてくれます。
その鍵となるのが入眠後、最初の90分なのです。
睡眠メンテナンスで意識したいのが「最初のノンレム睡眠」をいかに深くするかということ。
ここで深く眠れれば、その後の睡眠リズムも整うし、自律神経やホルモンの働きも良くなり、翌日のパフォーマンスも上がる。
つまり、入眠直後の最も深い眠り90分が、最高の睡眠の鍵を握っているのだ。
『スタンフォード式 最高の睡眠』P55・P56
眠り始めて90分後に最初のレム睡眠が訪れます。その前の最初のノンレム睡眠はその後に訪れるノンレム睡眠に比べ、深い眠りになります。
本書で紹介されている睡眠の主な5つのミッションは
- 脳と体に「休息」を与える
- 「記憶」を整理して定着させる
- 「ホルモンバランス」を調整する
- 「免疫力」を上げて病気を遠ざける
- 「脳の老廃物」をとる
ということです。
睡眠の質を上げれば、これらの5つのミッションをクリアしてくれるのです。逆に質の悪い睡眠ではこれらのミッションがうまく働かなくなってしまいます。
これら5つのミッションをクリアするため重要になるのが、やはり最初の90分の睡眠の質です。
さらに最初の90分の質を良くすることで得られる3大メリットも紹介します。
- 寝ているだけで「自律神経」が整う
- 「グロースホルモン」が分泌される
- 「脳のコンディション」が良くなる
これら5つのミッションと3つのメリットを知ると最初の90分の質を良くしなければいけないことが分かりますね。
「体温」と「脳」に眠りのスイッチがある
その良質な睡眠の鍵となっているのは「体温」と「脳」にあります。
体温
通常人の体の内部の温度(深部体温)は皮膚温度よりも高くなっています。
この深部体温と皮膚温度の差が縮ませることがスムーズな入眠を促す助けをしてくれます。
脳
運動直後で体が疲れているのに眠れないという経験はないでしょうか。脳が興奮状態にあるとなかなか眠りにつけませんよね。
さらに脳が興奮していると体温も下がりにくく、先ほど紹介した「体温のスイッチ」も切り替えにくくなります。
で、どうやったら睡眠の質をよくできるの?という疑問は本書に詳しく載っていますが、すべてを紹介することはできません。「体温」と「脳」のスイッチを上手に切り替えることが鍵となっています。
お酒も上手に利用すれば睡眠には良い影響を与えることもあるそうです。
最高の睡眠:まとめ
いかがでしたか?
睡眠の重要性、最初の90分がいかに大切か、お分かりいただけたでしょうか。
もちろん睡眠の最初の90分が良ければいいというものではありません。
本書でも最低6時間の睡眠を確保してほしいと言っています。ここのところは注意しておいたほうが良いと思います。
最高の睡眠で社交ダンスのパフォーマンスが少しでも向上してくれれば幸せです。
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